臨床例2

ストレス症の一例

50代 女性

平成19年5月12日、初回施術。
主訴、連休ごろから腰痛。動診では背屈、右旋回で仙椎に痛み。
リーディングして、施術に入ろうとするがSLの反応が思わしくない。でも、この程度の症状なら「力技」でなんとでもなるだろうと、SLを無視して施術しようと仙椎に手を乗せようとした瞬間、
「このまま施術してもうまくいかない」という予感。
慌てて足元に戻ってリーディングしなおす。
骨格系・筋肉系・内臓系と原因として当たりそうなところを読むが、SLは依然として釈然としない。
初めての患者さんの足元で診る前から頭を抱え込む・・・。

ふと問診の時に患者さんが話した「犬の最期を看取って腰痛になった」という言葉を思い出す。リーディングで「ワンちゃんなくなって、とっても悲しかったんですね?」と質問すると「強い反応」。
本人は「犬の最期の話」を、笑顔まじりで淡々と話していたのに・・・。
可愛がっていた「犬の死」のストレスをリーディングで読み、仙椎3番に「ストレス消去」。それまで全くそろう素振りを見せなかった仙椎がピタリとそろう。

施術後、腰痛の症状が綺麗に取れ、上機嫌の様子のご本人に
「きわどい施術でした。失敗してしまうところでしたよ。」
というと、ご本人はキョトンとした表情。
「ワンちゃんが死んで、悲しかったんですね。」
と声をかけると、楽になってニコニコしていた患者さんの顔がたちまち曇り、目から大粒の涙をボロボロとこぼし始める。「えっ?えっ?何、これ?」ご本人にも自分の感情に起こる変化が理解できない様子。

「犬が死んで・・・、一日だけ泣こうと決めて、その日は一日泣いていました。でも、その後はもう全然平気だと思っていたのに・・・。」「人前でなんて、絶対に泣かないのに。」
初対面でしたが、いろいろな事を話して頂く。
「ワンちゃんにとっては、今日の事はとてもいい供養になったと思いますよ。」と声をかけると軽く頷く様子。

いつも思うことだが、怖いのは本人がそれと気づいていないストレスが、本人の健康を深く傷つけている場合が多々としてあるということだ。

「好転反応」3題

60代 女性

平成19年2月5日。初診。
馴染みの患者さんから「椎間板ヘルニアで動けない人がいるから、私が車で連れてゆきます。」、と連絡が入る。
30年ほど前に出産を機に椎間板ヘルニアになり、定期的な激痛を繰り返しているらしい。
2週間ほど前から痛み出し、週末からは「酷い状態」とのこと。症状的には左腰の痛みと右座骨神経ラインの痛み。

施術後、痛みはかなり軽減し、車で連れて来てもらったくせに帰りは駅まで歩くと譲らない(苦笑)。かなりの坂道を下らなければならないため、無理やりに車に乗ってもらって駅まで送ってゆく。
車の乗り降りも、歩行も殆ど問題ないらしい。

平成19年5月22日。2回目。
今回はタクシーで来院。2週間前から痛み出す。前回よりも症状は「酷い」とのこと。
病院へ行ったり、鎮痛剤を飲んだりするが症状には変わりがないとのこと。それで、2月の当院への来院を思い出し、こちらへ連絡したらしい。もっと早く思い出さなかったのか不思議だが、回の浅い患者さんではよくある現象。
症状。左膝に激痛・右くるぶしから外側を通って臀部に激痛。

施術は予期に反して、壮絶なものとなる。
施術中に「好転反応」と思われる激痛が出る。特に仙椎は、手を乗せただけで患者さんは身体をよじらせて、悶絶する。試しに施術を中断すると、激痛は止まる。
施術そのものが手を乗せる程度の「軽い施術」なので、患者さんも理解はしてくれているようだが、途中、救急車でも呼ばないといけないかな、と思うほどに患者さんの激痛は酷くなる。ちなみに、座位で「遠隔施術」を試みるがやはり「遠隔」を始めると同時に激痛が来る。
試行錯誤の上、私の「右手」ではなく「左手」でケアすると鎮痛することを発見する。

施術後、「来る時はタクシーの中で座っているのも大変だったが、今は楽に座れる。」
もちろん、前回に比べると症状は残ったが「施術中苦しんだ甲斐がありましたね。」というと辟易とした顔で頷いていた。

70代 女性

膝痛で、秋にも手術の予定のある女性を現在施術していて、その方の症状が快方に向かうのを見て、どうしても自分も診てもらいたい、と来院。
主訴は両膝の痛み。病院では「手術しかない。」と言われているらしいが、本人は「手術はしたくない。」とのこと。

1回目の施術終了時にはかなりの施術効果が認められた。本人も膝が軽くなった感じがあり、何とかなりそうな手応え。
しかし、2回目の施術から、施術中に「気分が悪く」なる。始めのうちは、「同じ姿勢でいるといつもしんどくなる。」と話す。
3回目は、施術に入った途端から気分が悪くなる。施術の入りも、2回目以降、1回目ほどよくない。
夫に「施術を受けて具合が悪くなるようでは、何をしに行っているか分からない。」と言われたと、皮肉めいた事を話す(苦笑)。
4回目。最初から全く施術が出来ない。手を置こうとすると、顔を手で覆って嘔吐するような仕草。よく聞いてみると「家ではこんなことはない。同じ姿勢でも、何も問題はない。」始めと言う事が違っている。今までは「姿勢のせいだ。」と言っていたのに。
そこで試しに座位で膝を施術してみると、その途端に顔を覆って嘔吐を耐える仕草。間違えなく「好転反応」だ。
本人に理解できるように何度も「施術」と「反応」が同時に起こる事を体験してもらう。そして、「好転反応」の意味を伝えるが、苦しさには耐えられない様子。
「もう施術はやめましょうか?」の質問には素知らぬ顔。
結局、施術を終え、本人にも施術前よりも、「曲がらない膝」が曲がるようになっている事を確認してもらう。
これで、この方の施術は「まだ途中」だが終了。

好転反応が出ると多くの人が「あの施術は私には合わなかった」と言う。それは全くの誤解で、「とても合っているから好転反応が出た!」と言うのが正解である。
でも、残念ながら私の経験上、好転反応が怖くていったん施術をやめた人が、もう一度この施術に戻ってくる事がないのも事実である。

余談だが、この方の来院のきっかけとなった患者さんは5回の施術終了後に秋に予定されていた膝の手術は「延期」となり、どう治療しても下がらなかった緑内障の眼圧が下がった、と喜んで頂いている。

8歳 男性

患者さんから「孫の捻挫が全然治らないから診て欲しい。」と依頼。お母さんが小学3年生の男の子を連れて来院。
捻挫と聞いていたが、足首の関節ではなくその上のほうに包帯を巻いている。歩行は痛みの為に、びっこをひいている。捻挫や打撲ならなんとかなるだろう、と思っていたが何か感じが違う。本人に聞くが捻じった覚えも、打った覚えもないとのこと。
お母さん曰く、「よくこういう症状が下半身中心に出る。」とのこと。
施術を始めるが20分ほど進めても、全く症状に変化が出ない。何度も確認させるが、その度に痛そうに足をひいて歩く。施術が「軽い」だけに、施術室の空気は「重く」なる。
お母さんはしらけた感じで、不信げにしている。完全に行き詰った感じ。足元でいつもの如く頭を抱える。ふと、問診の時にお母さんの話した「体質かもしれません。」という言葉を思い出す。
打ったり、捻じったりした覚えもないのに定期的にこの手の痛みを持つ・・・、そういう体質。「あるかもしれない!」と思いリーディングで「体質」を乗せてみる。非常にいい反応が返る。そのSLを消去すると骨盤が綺麗に整った。
「ちょっと歩いてみて。」
本人は「またかぁ。」という表情。
でも、今度は明らかに足取りが変わっている。聞くと痛みも「軽く」なっているという。
これを2・3度繰り返して、痛みは完全に消え、足に体重をかけて歩いても全然平気になる。
不思議な事だが「体質」で施術し始めると、右足の痛みが和らぐにつれ、本人は眠くなり施術中完全に寝入ってしまった。
お母さんは「足の痛み」が取れた事にも驚いたが、本人が寝た事にはもっとビックリしていた。昼寝など、絶対にしない子らしい。
症状が改善し始めてから起こるのだから、これも「好転反応」の一種だと思われる。

平成19年6月15日。2回目。
右足の痛みは完全になくなるが、翌日から左足が痛み出し、左後頭部にもイヤな痛みがあるという。
リーディングした途端、「あっ!寝るぞ。」という予感。
案の定、横になって3分としないうちに、グーグー眠りだす。
その間に施術を済ませてしまうが、一向に起きる気配がない。
お母さんが耳元で大声で名前を呼ぶが、ピクリともしない。静かな呼吸でスヤスヤ眠っている。声をかけても、身体を揺すっても起きないので、お母さんは少し心配な様子。
私としてはこのまま眠らせておくほうがいいような気がしたが、お母さんの心配ももっともだと思う。仕方なく眠っている子を、後ろから抱きかかえて、大声で名前を呼びながら大きく揺すぶる。
そこまでして、何かモゴモゴ言いながらやっと目を覚ます。でも、なかなか身体を起こせないような状態。
暫くマットの上でボウッとしていたが、おもむろに立ち上がりってイスに座ると、一声「あー、よく寝たぁー!」
時間にしたら30分は経っていなかったと思うが、それ程「深い」睡眠を味わっていたのだと思う。
施術のほうもうまくいき、左足の痛みも左後頭部の痛みも無くなっていた。

後日、施術を受けてからお腹の調子も良くなっていると母親が喜んでいた。

注釈
以前は、ここの「臨床体験記」にあるようにかなりの頻度で「好転反応」が出ていたように思います。
ただ、ここ2年ほどは「施術の質」が変わったのか、好転反応はあまり出なくなっています。
ただし、「好転反応」は施術家の問題というより、患者さんサイドの「症状の問題」の占める割合が高い現象です。「反応」を起こす要因が、患者さん側にある場合、必然としてそれは起こります。また、そのほうが「改善が早く」始まります。

施術を受けるひとつの参考として、この「臨床体験記」をお読みください。

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